すごい分子 世界は六角形でできている | 佐藤健太郎 | ブルーバックス

今回は、佐藤健太郎先生のこちらの本をレビューしていきます!!

ブルーバックス:すごい分子 世界は六角形でできている

この記事を書いた人
ゆか

科学者になることを目指して、日々大学院で修行しているゆかです!専門は有機化学

大学院生になってブルーバックスに爆ハマりした人!

【本を読む前のゆかの知識レベル】

上記した通り、現在は有機化学を中心に研究を行なっています。

そのため、高校、大学でも化学を中心に勉強してきました!!

こんな感じのレベルの人が、こちらの本を読んだ感想を書いていきます

目次

概要

有機化学を学んでいる人で知らない人はいないだろうっていうくらい有名な佐藤健太郎先生!!

ご自身のサイト「有機化学美術館」やX(@KentaroSato)でも有機化学の面白いトピックを発信してくださっています!(私もゆかのアカウントでもプライベートのアカウントでも佐藤先生をフォローさせてもらってます)

そんな佐藤先生が「芳香族(六角形)の魅力」について語ってくれます。それに、活躍されている日本人研究者の方もたくさん出てきます!!!(何人かの先生は存じ上げており、ふむふむって感じで拝見させてもらいました!!)

ほんまにタイトル通り(過剰表現でもなく)「世界は六角形でできている」ので、その世界を覗いてみて欲しいです!

感想

「有機化学やっぱり最高だぜーー」

ゆかも有機化学が専門なので、有機化学の面白さに魅了されて今に至るのですが…

本書を読んでさらに、「やっぱり最高だぜーくぅ〜〜〜〜」って思えて、テンション爆上がりしてました。(やっぱり自分が研究対象とした有機化学は最高や!面白いってね。)

4つの手を持つ炭素が作り出す世界は本当に広くて…

自分の専門としている有機化学の領域以外にも、「こんな面白い研究が展開されていたのか!!」と発見の連続で本当に最高でした。

それを読んだ中で、改めて「有機化学」という学問の持つポテンシャル(可能性の広さ)を実感して…

ゆかは将来有機化学者になりたいなーって思ってるけど、一生かけて自分自身が「面白い有機化学の世界」を創造できたらいいなって触発されちゃいました笑(そのために、研究頑張ります笑)


あと、個人的に刺さったのが「神様の作り忘れた化合物」というフレーズです。

今回は、「神様の作り忘れた化合物」として電気エネルギーに関する化合物とフェロセンが紹介されていました。

さらに、本書の中で以下のようなことが述べられていました。

科学を学んでいると何度も痛感してしまうのが、生命の懐の深さです。人類がこれまで「発明」してきたものは、大抵の場合すでに生命に夜創造物の原理をまねたものです。(P.210)

(フェロセンの話)これほど安定でありながら、自然界に全く類縁がないというのは珍しいことで(p.80)

それな!!って思いました。

(まだまだ大学院生の端くれで修行中の身ですが、)私自身も本当に「生命ってすごいなー」って感じるんですよね。だから、「神様の作り忘れた化合物」って表現が妙にしっくりきて刺さりました。

それと同時に「神様が作り忘れた化合物」ですら、現代の有機化学の力で作れるようになったのか、「新時代が到来したんや」とワクワクしました。

だから、改めて電気エネルギーに関する化合物とかフェロセンを「神様の忘れた化合物」と認識させてくれた佐藤先生にほんまに感謝です!


(専門なので興奮しすぎてレビューが長くなってしまうのですが、)第2章の有機化学が学問として形成されてきた歴史の部分も激アツでしたね。

今まで摘み食い(断片的に)で、

  • 1828年に初めて無機物から有機物の合成に成功
  • 1866年にケクレが現在のベンゼン環の構造を提案

というのは知っていたけど、「有機化学の学問が形成されるまでの歴史」というようにはちゃんと学んだことがなかったので、ちょー勉強になったし、改めて偉人たちの凄さに気づくことができました。(あと、最近自分自身が科学史に爆ハマりしてるってのもあるけど笑→こちら「物理学史」「化学史」)

特に激アツだなーって思ったのが、以下のエピソード。

ケクレは、正六角形構造が実験的に実証されるまで、これ以上の推論を行うことは危険と考え、1888年までに40報もの芳香族化合物に関する論文を書いていたにもかかわらず、正六角形構造をほとんど用いていません。この辺りは、研究者としてのケクレの誠実さを表していると言えるでしょう。(P.42)

これを見た時びっくりよ。ケクレさん、それはカッコ良すぎませんかって。

ケクレさん、現代にタイムスリップしたら驚くだろうなー。提唱した構造を基盤にこんなにも有機化学が発展してるだなんて


専門なのもあって、テンション上がりすぎてしまった笑

佐藤先生の本は本当に面白い。次は、「世界を変えた薬」とかも読んでみたいな。

おすすめしたい人・難易度

おすすめしたい人
  • 「有機化学」をちょっとでも学んだことある人全員!!!

みんなで「有機化学最高だぜ〜〜」ってなろう!!

難易度 (4段階評価)

入門・高校レベルの知識必要・大学レベルの知識必要・めっちゃ難しい

バリバリ構造式が出てくるから、高校レベルの「有機化学」がわかっていると理解しやすいかもって思いました。

おまけの感想1

本書の中で、悪臭を持つ化合物として「スカトール」が紹介されていました。

ゆかの研究室の中でも、一時期この「スカトール」を扱っていた仲間がいるんですよ。よく教科書とかでも臭い臭い言われているから、臭いんだろうなーっては思っていたけど、実際嗅ぐと想像より臭すぎる笑

(匂いの取れなかったものが、ジップロックに「クサイ」って書いてあって保管されてある笑どうすんやこれ笑)

これを薄めて香水にしてるとか、実際に「スカトール」を嗅いだことがある身としてはにわかに信じられない笑

おまけの感想2

本書の中で、「紙に鉛筆で字を書くこと」そして「消しゴムで字が消える」ことについて有機化学的な視点で述べられていた。原理としては、本書を引用させていただいて以下の通りだ。

紙に鉛筆で字を書くというのは、このグラファイトの層をセルロースにこすりつけ、くっつけてゆく作業です。(ちなみに消しゴムで字が消えるのは、グラファイトが紙の成分であるセルロースよりも消しゴムの成分〈ポリ塩化ビニルやフタル酸エステル〉と強く引き合うため、神から剥がれ落ちるおかげです)。P.154)

小学生の頃から当たり前のように字を書いているのに、その原理を今まで考えたことなかったから、「確かに〜〜」って思って面白くて笑自分の備忘録としてこちらに書かせてもらいました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次