今回は、吉森保先生のこちらの本をレビューしていきます!!
ブルーバックス:生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム
科学者になることを目指して、日々大学院で修行しているゆかです!専門は有機化学!
大学院生になってブルーバックスに爆ハマりした人!
【本を読む前のゆかの知識レベル】
生物に関しては「高校レベル」の知識はあるかな!って状態です。
高校・大学受験・大学と「生物」はちゃんと学んでいないのだけど、最近個人的に興味があって自分で勉強しておりまして笑
こんな感じのレベルの人が、こちらの本を読んだ感想を書いていきます
概要
2016年のノーベル生理学賞・医学賞の対象となった「オートファジー」研究。
大隈先生が授与され話題になったので、多くの人がこの「オートファジー」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか??
本書はそんな「オートファジー」という真核生物の細胞内で起きる現象をわかりやすく解説してくれた本です!
ただ、本書はただの解説本ではありません。大隈先生とともにオートファジー研究を切り開いていった吉森先生が書いてくださった本です。第一線で活躍されている先生が書くお話は、臨場感があってワクワクしますよ!!
急激に発展した「オートファジー」という分野を、吉森先生の案内で見ていきましょう。
感想
基礎研究ってすごいなぁ。ロマンがあるなぁ。
というのが、本書を読み終わった時の率直な感想です。
私が現在しているのは応用研究です。実験室で研究していることを、社会に実装して豊かにしていくというプロセスは非常にワクワクしますし、それに魅了されて今の分野を選びました。(私たちが開発した科学技術で社会を変えているんだという感じです!)
ただ、本書で紹介された「オートファジー」の研究。完全に基礎研究ですね。
「細胞の中で何かわからないけどすごいことが起きている。仕組みを知りたい!!」という思いで研究を進められた結果…
細胞の生存に欠かすことができない存在であることがわかり、大きな分野が新たに確立されました。(疾患と関係があることがわかり、現在は多くの製薬会社が注目しているとのこと…)
「役に立つ」ということがある程度予想されている研究だけを進めていたら、この分野は開拓されていませんからね。本当にかっこいいなぁと思いました。
本書で紹介がありましたが、大隈先生は以下の言葉を残しているようです。
『役に立つか立たないかわからない研究が尊い。』
本書を読んで、この言葉の意味を少し理解できたように思います。今私がやっているような応用研究も基礎研究の上で成り立っているので、基礎研究を開拓されてきた大隈先生や吉森先生のご活躍を心に留めておきたいなと本当に思いました。
あと、ここで言いたいのは、この本はとってもとっても贅沢な本だということ!!!!
高校生の時にはわかりませんでしたが、自分が大学院に所属して実際に研究活動を進めていくと、第一線でその分野を開拓されている先生方の凄さというのを実感します。
吉森先生はオートファジーの分野について大隈先生らと開拓され、現在は医療分野までこの分野を率いていらっしゃいます。
そんな先生が書く「オートファジー」の解説書なんて贅沢すぎますよ。もう凄すぎるので何回も言いますが、その分野を率いてきた先生が直々に書いているんですよ。(しかもそれが母国語で、1000円ほどで読めるなんて、本当に恵まれているなぁと思います)
科学者を目指しているものとして、その分野を開拓されてきた先生の本を読むことができてほんまによかったなぁと心の底から思います。生き様とかがほんまに刺激されました。
私もまだまだですが、改めて研究がんばろ!!っと思えた本でした。
おすすめしたい人・難易度
タイトル通り、オートファジーについて理解したい人にはおすすめ!!ほんまにわかりやすかった!!
ただそれに加えて、全員におすすめしたいなと思いました!
「オートファジー」というよくわかっていなかった分野を発展させてきた大隈先生や吉森先生の生き様というのは本当にかっこいいなというので、そういう臨場感を実感していただくにも全員におすすめしたいなと思いました!!
難易度 (4段階評価)
入門・高校レベルの知識必要…?・大学レベルの知識必要・めっちゃ難しい
細胞の基本的な事項については、冒頭でかなり丁寧に説明くださっているのですが、中盤になってくるとかなりオートファジーについて踏み込んだ説明があるので、高校レベルの知識があると読みやすいかも!!という感じです!
おまけの感想1
本書で紹介されていた「ヒトの細胞の数」の話が好きです!!
以前はヒトの細胞の数は60兆個と推定されていましたが、2013年に38兆個と訂正されたようです。
(以前はすべての細胞が同じ大きさだとして計算されていたのが、組織によって細胞の大きさが違うことが考慮されて改訂されたそう…)
吉森先生もこのお話が好きと記載がありましたが、私もこの話はかなり気に入りました。なんだろう、真髄を求めて研究していく様がかっこいいなぁと思うんですよね。
それからというもの、他の本とかで細胞の数の話をするときに、38兆個と書かれているか、60兆個と書かれているか、気になるようになりました。(それによって本が書かれた時代が類推できそうですね。こういう変化、科学っぽさがあってかなり好きです。)
おまけの感想 2
本書で紹介されている吉森先生のアヒルの話が大好きです。
まだ読まれていない方は「アヒルの話?」とよくわからないと思います笑
詳しくは本書を読んで欲しいのですが、吉森先生はアヒルがトレードマークで、論文にもアヒルが登場してくるんだとか!!
本書が読み終わって吉森先生のことを検索してみると、研究室のHPも、さらにXのアカウント名まで(@ProfAHill)アヒルがいっぱい!!笑(特にXのアカウント名がかわいいですね!)
すごいキュートな話だなと思いました。私も何かをトレードマークにした科学者になりたいな笑