今回は、平山令明先生のこちらの本をレビューしていきます!!
ブルーバックス:暗記しないで化学入門 新訂版 電子を見れば化学はわかる
科学者になることを目指して、日々大学院で修行しているゆかです!専門は有機化学!
大学院生になってブルーバックスに爆ハマりした人!
【本を読む前のゆかの知識レベル】
上記した通り、現在は有機化学を中心に研究を行なっています。
そのため、高校、大学でも化学を中心に勉強してきました!!
こんな感じのレベルの人が、こちらの本を読んだ感想を書いていきます
概要
「細かい化学式や化合物名をたくさん覚えないといけない」と思っている化学嫌いの人/化学アレルギーの方がたくさんいるかもしれない。
しかし、化学というのみんなが思っているような「暗記物」では全くなく、理論が基盤にあってそれを応用するものである。で、その応用したものが我々の生活をとーっても豊かにしてくれている。(洋服も、スマホも、食べ物もいろんなところに化学の産物が溢れている!!)
確かに、現在の高校のカリキュラムだと理論をさらっとやって応用したものをインプットしていくから、「暗記しなければならない」と思っている人がいるのは仕方ないことだと思う。(まぁ気持ちがわからなくもない笑)
そんな高校生のために、暗記しなくていい体系的な説明を試みたのが、本書『暗記しないで化学入門』である。
体系的な理論を学んでいくと、暗記なんて最低限でいいことがわかるし、化学の持つ多様性の凄さ、面白さも実感できると思う。(現在有機化学を学んでいる身としても化学の持つ多様性の凄さにはいつも驚かされる。正直、多様性がすごすぎて理論を吹っ飛ばして暗記なんてしてたら一生理解しきれない苦笑)
しかも、その体系的な理論を化学のレジェンドである平山令明先生が高校生にもわかるようにわかりやすく説明してくれています。(私も平山先生の本には今までに何度もお世話になりました!!)
「暗記ばっかでつまらない」と思っている高校生におすすめの本です!!(忙しいのはわかっているけど、受験生にこそ読んでほしい!!無機質な暗記でなくて、体系的な理解のもと化学を見れるようになると問題の味方も変わる気がする!!)
感想
高校、大学と化学を学んできましたが、とーっても楽しめました!!
本書で扱っている内容は高校の内容+α大学の内容という形だったので、もうすでに勉強してきた概念が大半でしたが(一応大学院生なので笑)、平山先生から見た化学の世界はとっても面白かったです!!これの感想はかなりマニアックになるので、下に記載しました笑(緑色の蛍光ペン部分)
私のマニアックな感想は一旦置いといて…
すごくわかりやすかったです!上記した通り、化学を学んでいる高校生・受験生におすすめの一冊です!何回もいうけど、特に受験生こそ読んでほしい!!
化学が苦手って人や化学アレルギーって人には、もしかしたら本書を読み切るのは大変かもしれない。ただ、読んだ後には絶対に化学に対する見方が変わると思います。
【以下はかなりマニアックな感想になります!!興味ある人のぞいてください】
個人的に特に興味深かったのが、「DNAを構成している糖(デオキシリボース)がなぜ5員環であるか」という考察です。
(本書にて6員環よりも5員環の糖の方がC-C単結合の自由度が高いってことが先に述べられていました)
それについて以下のように述べられていました。
DNAが遺伝情報を伝える過程で、二重らせんは大きく構造を変化させる必要があるが、デオキシリボース(5員環)を使うことでその動きを非常にスムーズなものにしている。もしグルコースのような6角形の糖を使うと、DNAは硬直してしまい、情報伝達はスムーズには行われなくなる。生物は実に適材適所を行なっている。
これをみた時、「なるほど!生物ってよくできているな、すげー」ってかなり興奮しました!!それと同時に、化学を学んできたから、これに興奮できるのかと思いました。(ただの暗記じゃなくて理論から勉強すると全く分野の異なる生物も垣間みれるんだなって!)
あともう一つ興奮したのが、「病気」に関する平山先生のコメントである。
私たちの体の中で起こっている生命活動のほとんどが化学反応によっている。つまり、私たちの体内では時々刻々と分子が分解され、変化し、そして新しい分子が作られている。それらの反応はランダムに起こるのではなく、整然と制御されている。それが何らかの拍子で狂ってしまうのが病気である。
これを読んで、「病気」っていうのは生物のシステムのエラーかと妙に納得させられました。化学的にミクロな視点で見るとこうなるのかと。確かにって思いました。
おすすめしたい人・難易度
- 高校で化学学んだけど、化学苦手!!化学アレルギーって思っている人
- 今絶賛高校生で化学学んでいます!っていう人
- 化学で受験します!っていう高校生
にぜひ読んでほしい!!「暗記の化学」から「理論を元にした体系的な化学」をぼんやりでも理解できると、化学の教科書や問題の見方が変わってくると思うし、何より化学の凄さ(魅力)に気づけて楽しくなるともう!!
難易度 (4段階評価)
入門・高校レベルの知識必要・大学レベルの知識必要・めっちゃ難しい
必要な概念はその都度丁寧に説明してくれるけど、原子とか分子とか基本的な知識はないと難しいかもと思いこのレベルにしました!!
おまけ
高校の先生に届け!!
高校の先生に提案なのですが、夏休みの宿題とかをワークとかではなく(とかに加えて??笑)、「この本を読んでくる」という課題にするのはどうでしょうか!?
高校生の頃を思い返してみると、受験のためにひたすら暗記して演習問題を解いてって繰り返していた子が結構いるように思います。ただ、暗記して受験テクニックを身につけたその子達は、化学の本質的な部分(エッセンス)とかそれから展開される応用の凄さ、多様性とかに気づけているのかなって思うんですよね。
それってせっかく、頑張って勉強しているのにちょっと勿体無いなって思うんです。化学の本質から、それがどのように利用されているか、展開されているかが描かれた本書を一度でも読んだら、問題の見え方もだいぶ変わってくるのかなって思いました。
(大学院生の独り言です笑)
補足
この本は、2000年に発行した旧版の最新版!!
旧版ではこれもまた化学において基礎となる「酸化還元」にフォーカスした本です。酸化還元も化学を理解する上で、本当に大事なので、忙しいのは本当にわかっているけど、大学の受験生にこそ読んでいただきたい一冊!