今回は、志村史夫先生のこちらの本をレビューしていきます!!
ブルーバックス:いやでも物理が面白くなる〈新版〉 「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか?
科学者になることを目指して、日々大学院で修行しているゆかです!専門は有機化学!
大学院生になってブルーバックスに爆ハマりした人!
【本を読む前のゆかの知識レベル】
高校の時の履修科目 | 物理・化学 |
大学入試で用いた科目 | 物理・化学 |
大学の教養課程でとった科目 | 力学・電磁気学 量子化学 |
上記の通り、理系大学生がよく履修する科目は習っていますが、物理は本当に苦手です。大学の力学はギリギリ特単のラインでした(汗)
こんな感じのレベルの人が、こちらの本を読んだ感想を書いていきます
概要
本書は「誰でも物理が好きになれる、物理をちょっとでも学ぶと日常生活、さらには人生がとても楽しく豊かになる」ということを読者に知ってもらうために書かれた本である。
これを聞いても今まで物理に苦しめられてきた物理アレルギーの皆様は「物理は難しいし、好きになれない。物理を知っても人生は豊かにならない」と思う人もいるかもしれない。この本を書いた志村先生も、大学の先生時代にそのような物理アレルギーの学生に直面し、そのような人がたくさんいることを知っている。だからこそ、誰でも、いやでも物理が面白くなるこの本の出版をされた。
本書では、以下のような日常に潜む疑問を「物理」を用いて志村先生が解き明かしていきます。
物理が苦手・物理アレルギーな皆様にぜひ読んでいただきたい!!この本では、受験の時にやった難しい計算は出てきません。「この原理ってこんな場面に生きているんだ」って知るだけで、本当に日常が違って見えます。志村先生が解説する物理の世界にぜひ飛び込んでみましょう!
*この本は、2001年に発行した旧版をアップデートした本です。旧版は12年間で13刷を重ねた名著です!!
感想
タイトル通りなんですけど、本当に、いやでも物理が面白く感じました!!!!
大学入試で用いる物理や、大学の初年度で習う力学・電磁気学って以下の図の①のような物だと思うんですよね。
例えば波の分野だったら、以下の1,2を繰り返して授業が進んでいくと思います。
- さまざまな法則、定義、性質などを学ぶ(振動数、波長、光路差など)
- 1の理解のために、演習問題(めちゃめちゃシンプルな系において)
ex:「振動数を求めよ」、「光路差を求めよ」etc.
で、この演習問題とかで挫折して「あぁもう物理難しすぎ、無理」ってなり、物理アレルギーの人が大量発生していると思います。
これって今振り返るとすごいミクロな視点の勉強だったなと思います。「波の性質を理解する」ということが目的だから、ミクロな視点で1,2を繰り返す高校の物理は大事だと思います。
ただ、その「波」をミクロの視点でしか見えておらず、「日常生活で波がどのように使われているか、応用されているか」という日常に潜む物理(マクロな視点)を理解することができていませんでした(図中②)(私だけですかね笑恥ずかしながら私はそうでした)。
本書は物理をマクロな視点で捉え、日常に潜む物理(図中②)を徹底的に解説してくれました。高校や大学の授業では、なかなか①→②については時間上扱うことが難しいんですよね。(ですよね?私が授業中寝てて聞き流したってことはないですよね笑)私は頭があんまり良くなかったので、①でつまづいて②の日常の中の物理というのにあまり関心を持てなかったんです。
本書を通じて「あぁ、高校の時に苦しめられたこの式はこんなところに応用されているのか」と気付けました!!それで、それがわかると物理ってすごいじゃん。面白いじゃんって少しだけ思えるようになりました。
さらには、今まで学んだことのない「相対性理論」に関する話まで志村先生は連れてってくれました。この章を読んで、「なんで今までこれについて学んでこなかったのか」と激しく後悔しました。それくらい面白かったです。もちろん、実際に勉強すると難しすぎるってなる未来が見えるのですが(笑)、この分野の魅力、面白さを少しだけ体感する事ができたのは、本当に良かったです。この本を読み終わって、今は「相対性理論」に関する他のブルーバックスを読みあさっています笑
それで、本書を読み終わった時には、物理のメガネを少しだけかけられるようになっていて、気づいたら物理ってすごい!面白い!って思ってました。(個人的に好きなのは、「私たちが見ている太陽というのは8分20秒前の姿である」という話。詳しくは本書をチェック!)
本当に本書を通して、日常生活に潜む物理を少しだけ実感できるようになり、見え方が変わりました!(本当に面白くて一瞬で読み終わりました)しかも、それを実際に物理学を研究されてきた方、物理の世界を知っている方から伝授いただけるっていうのは、本当に贅沢な話だなと思います。
おすすめしたい人・難易度
- 高校で物理学んだけど、物理苦手!!物理アレルギーって思っている人
- 今絶賛高校生で物理学んでいます!っていう人
にぜひ読んでほしい!!もちろん物理は難しい学問だと思うけど(私も苦手だしね笑)、「高校の時に学ぶこの公式ってこんなふうに応用されているんだ」というように日常の中の物理を実感してほしい!!そうすると、物理ってすごいな、面白いなって思えてくるはず!!
私も高校生の頃に本当にこの本に出会っていたかった…受験勉強ももっともっと楽しくなるはず!!(もちろん受験勉強は大変だし難しいけどね笑物理の勉強に疲れた時とかにこの本を読んでみるのはいかがでしょうか!!)
難易度 (4段階評価)
入門・高校レベルの知識必要かな…?・大学レベルの知識必要・めっちゃ難しい
自分が中学生の頃にこの本を読んだらちょっと難しいかな…?って思って上記レベルにしました。(本当にわかりやすく書かれているからすごく手に取りやすい本なんだけど、力学とか波とか電磁気の基礎があるともっと楽しめるのかな…って思いました!もし、文系で物理学んだことないけど楽しめました!!とかいう人がいたら教えてくれると嬉しいです!!)
おまけの感想
志村先生の言葉選びが好きすぎる!!
本書の中で以下の文章があるんです。
月に人間を送って地球に生還させたり、宇宙ステーションを建設できたりするのは、まさに古典物理学の”勝利の証”である。
この“勝利の証”って言葉選び、めっちゃ良くないですか!?この文章を見た時、身の回りにある便利グッツ(スマホとか原子力発電所とかそのほかにも色々…)っていうのは「”勝利の証”なんや。それを作ってきた人間すげー」ってすごい興奮しました。
そのほかにも、
- 半導体を「現代の魔法の石」「現代のスーパー宝石」と表現されていたところとか
- 宝石の鍵となる不純物を「調味料」「隠し味」と表現されていたところとか
本当に素敵だなって思って読んでいました。(本書を読めば、なんで志村さんがこのように表現されたかわかりますし、それを理解したらその言葉選び素敵!ってなると思います。)
補足
この本は、2001年に発行した旧版をアップデートした本です。旧版は12年間で13刷を重ねた名著です!!