今回は、平山令明先生のこちらの本をレビューしていきます!!
ブルーバックス:はじめての量子化学 量子力学が解き明かす化学の仕組み
科学者になることを目指して、日々大学院で修行しているゆかです!専門は有機化学!
大学院生になってブルーバックスに爆ハマりした人!
【本を読む前のゆかの知識レベル】
上記した通り、現在は有機化学を中心に研究を行なっています。
そのため、高校、大学でも化学を中心に勉強してきました!!
(でも数学と物理はちょっぴり、嘘ですかなり苦手です。)
こんな感じのレベルの人が、こちらの本を読んだ感想を書いていきます
『はじめての量子化学』の概要
大先生の平山令明先生が難解な量子化学を、高校生にもわかるようにわかりやすく説明してくれる本です!!
私のように数学・物理が苦手だよ!という方もウェルカム!!(もちろん、詳細に理解していくには数式を用いてさらに理解していく必要があるけどね!!それは一緒に頑張っていきましょう!!)
ただ、1冊目に「量子化学」という学問を理解するという点ではめちゃめちゃ良本です!!
感想
タイトルの通り、「はじめて」量子化学を勉強する人に本当におすすめの本!!!(私も学部2年の時、リアルでお世話になりました)
数学・物理が苦手な私の「量子化学」の体験談を書かせてください!
私の大学では学部2年より本格的に量子化学がスタートします。
よーし!量子化学頑張るそーって気合いを入れたものの…
- 古典物理学の破壊
- 波と粒子の二面性
- シュレディンガー方程式
- 不確定性原理
- …
というような感じですんごいミクロな視点で学んでいくじゃないですか…(しかもその一つ一つが数学・物理が苦手な私に取ってかなり難しい)
んで、難しいなぁと思いながらしばらくミクロな視点で「量子化学」を学んでいくから、この「量子化学」という学問が「化学」において何に適用できるのか、何に応用できるのか、何を解明するのか全体像が全く掴めなかったんですよね。(繰り返すけど、数学・物理が苦手だった私にはほんまに大変だった笑)
その時に手に取ったのが本書だったんです!!
上記した量子化学の最初の方で習う細かい(数学的な)議論は一度置いといて(肝となる部分だけを理解して)、「量子化学」という学問が「化学(特に有機化学)」でどう活躍するか教えてくれました!!
まず前提として…
化学は電子が支配しています。分子の性質も色も反応性も、電子の状態に依存する。(電子がわかると全てが分かると言っても過言ではない!!)
んでんで、「量子化学」を基盤として「分子軌道法」という手法を用いることにより分子全体の電子の挙動を考えることができる!
だから、「分子軌道」がわかると、さまざまな化学的性質が予測できるようになる!!(この辺が計算化学という領域でめちゃめちゃ近年発展してきている)
このように本書を読んで化学における「量子化学」の立ち位置・全体像・重要性がクリアになりました!
そしたら、授業内で取り扱っていたミクロの議論の意味も分かってきたんですよね。その議論の重要性も!!(正直、ミクロな視点でやってた時はわからなかった。本書で全体像を掴んで「量子化学」を見たから、ミクロな視点の議論がわかるようになった)
てなわけで、「量子化学」を学んで挫折しそうになっている化学系の学生さんにほんまにおすすめです!!(しかも250ページくらいの本で、1日もあれば挫折せずに読み切ることができるので笑)その後に、大学の教科書に戻って深く理解して貰えばいいかなって思います!!
有機化学を研究するようになって後から実感するけど、「量子化学」ってほんまに大事なんで…挫折する人が少しでも減ることを願います笑ほんまに本書おすすめです。
おすすめしたい人・難易度
- はじめて「量子化学」を勉強します!っていう人
- 大学で「量子化学」を学んで挫折しそうだぜっていう大学生
にぜひ読んでほしい!!「量子化学」の全体像が分かって、この学問の素晴らしさや重要性を実感できるはず!!
難易度 (4段階評価)
入門・高校レベルの知識必要・大学レベルの知識必要・めっちゃ難しい
「量子化学」って学問の導入の本だから、その基礎となる高校化学の内容は分かっているといいかも…分子とか電子の話は当たり前のように出てきます!
おまけの感想1
量子化学を学部時代に習って数年後、大学院生になって「計算化学」を使っていくことになりました。(反応経路や物性の予測を目的としてです!Gaussianという量子化学計算ソフトを使います)。
量子化学を学ぶのが久々というのもあり、久しぶりに(4年ぶりくらい?)に本書を読み直しました。
この本めちゃめちゃわかりやすいなと思うのと同時に、「量子化学」って学問素晴らしいなぁと改めて実感しました。正直、プログラミング?とか苦手なので、かなり苦戦していますが、使いこなせるように頑張るぞー!!
おまけの感想2
本書では、量子化学計算が無料でできる「Winmonster」の使い方についても説明があったけど…
私はmacユーザーなのでやることができず、かなぴい…windowsユーザーはぜひやってみてくださいね!!