火薬のはなし | 松本猛裕 | ブルーバックス

今回は、松永猛裕先生のこちらの本をレビューしていきます!!

ブルーバックス:火薬の話

この記事を書いた人
ゆか

科学者になることを目指して、日々大学院で修行しているゆかです!専門は有機化学

大学院生になってブルーバックスに爆ハマりした人!

【本を読む前のゆかの知識レベル】

上記した通り、現在は有機化学を中心に研究を行なっています。

そのため、高校、大学でも化学を中心に勉強してきました!!

こんな感じのレベルの人が、こちらの本を読んだ感想を書いていきます

目次

概要

火薬という特殊な物質を長年研究されてきた松永先生が、爆発の原理から、実験室で見られる危険な物質、さらに身の回りの火薬まで丁寧に解説くださいます!

  • 爆発と燃焼の違いは…?
  • 爆発の巨大なエネルギーの正体とは…?
  • 安全に火薬を用いるには…?(火薬にとっての絶対条件は必要のない時に絶対に爆発しないこと!!)

ということを見ていきながら、「火薬」のケミストリーを見ていきましょう!

リスクを伴う化学実験を安全に行うために知っておきたいことが盛りだくさんです!!

感想

「化学実験をする人」「危険物取扱者の試験を受ける人」にぜひ読んでいただきたいって本気で思いました。


私を含めてですが、今の若い人たちって化学実験のリスクを身をもって知っている人が少ないと思います。

昔の人の話を聞くと(本当かどうかはわかりませんが笑)、「湖にナトリウムを投げ入れて爆発させてた」というようなことを聞いたりします。

今の時代はそんなこと絶対にできません。現代は危険物について非常に厳しく管理されているため、そのような危ない実験・経験というのはほとんどできる環境でないと思います。(それ自体は不運な事故を防ぐためにも非常に大切なことですし、素晴らしいことだと思います。)

ただ、若い人たちが「爆発」という化学実験に潜むリスクを知らないのは非常に問題であると思います。

さらに、現在は高校生など早期の段階から化学実験に取り組んでいるところもあります。(SSHなどで推奨されていますね!私も高校生の時に研究活動に触れさせてもらいました。科学の面白さを身をもって実感できたため、本当に感謝です!)

ただ知識不足が故、リスクへの対策が十分に取れておらず、事故につながってしまうという危険性もあります。(特に高校生は化学の勉強はするかと思いますが、安全管理という授業はなかったと思います。私も大学4年生の時にはじめて習いました)

だからこそ「爆発」のリスクを知識として知っておくことが非常に大事だと思っています。


そこで本書をほんっとうにお勧めしたいです!!

火薬という特殊な物質を長年研究されてきた松永猛裕先生が、「爆発」の原理から実験室で見られる危険な物質、さらに身の回りの火薬までとっても丁寧に説明くださります。

(特に爆発の原理を知っておくのはリスク回避する上で非常に重要だと思います!)

すでに自分自身研究をしていますが、本当に勉強になることが多かったです。改めて化学実験におけるリスクについて考え直すことができました。

特に勉強になったのは、爆薬を議論する時には「エネルギーを放出する速度を考える」ということです。

この一文を見てかなりハッとさせられました。

自分自身研究を進めていく上で、「エネルギー」については考えますが、その速度については意識したことがなかったなと。そして、その速度が速いほど危険だなと。

この概念は、爆薬に限らず安全に化学物質を扱うために非常に重要だと思いました。


ほんまに化学実験の事故は怖いです。

自分自身・そしてラボのメンバーが危険な目に遭わないために、「リスク」についてしっかり知識を身につけておきましょう!!

ほんまに化学実験する人は本書を読んでもらえたらなと思います。

おすすめしたい人・難易度

おすすめしたい人

おすすめしたい人というか「化学実験」をする人は絶対に読んで欲しい!!

あと、危険物取扱者の資格を取る人!!

リスクを知っておくって安全に実験するために大事だと思うの!!ほんまに読んで欲しい。

難易度 (4段階評価)

入門・高校レベルの知識必要・大学レベルの知識必要・めっちゃ難しい

必要な概念はその都度丁寧に説明してくれるけど、原子とか分子とか基本的な知識はないと難しいかもと思いこのレベルにしました!!

おまけの感想

2022年のノーベル化学賞は「クリックケミストリーと生体直交化学」ですね!

バリー・シャープレス先生(スクリプス研究所)、モーテン・メルダル先生(コペンハーゲン大学)、キャロライン・ベルトッツィ先生(スタンフォード大学)の3名に授与されました!

詳しい内容は他の記事に譲るとして、このケミストリーでよく使われものにNが三つ連なったアジド化合物があります。(クリックケミストリーの発展もあって、近年アジド化合物を含む論文がよく見られるようになりましたね)

ただこのアジド化合物、本書でも紹介がある通りかなり危険性が高い物質です。

取り扱う際は、こちらの本を一読するのをお勧めします!!

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